今週の「アゴラの人々」

「こまばアゴラ劇場」に出入りする人々を追った、日々の記録。

月に数回、更新します。


 

vol.34「伊藤さんのこと」2017.9.21

 

 

 伊藤さん、という人は、どんな人なんだろうと思っていた。

 

 青年団俳優の伊藤毅さん。

 今年度に入ってから書いてきた中でも、『南島俘虜記』『さよならだけが人生か』『笑い話、別れ話、割り切れない話』と、3作品に伊藤さんが出演していたのに、なぜか毎回伊藤さんのことを書けずにいた。

 伊藤さんがどんな人なのか、よく、わからなかったのだ。

 もちろん、今まで書いた人のことがよくわかっている、というわけではないのだけれども。。

 

 前髪が短くて、年齢よりもずっと、若く見える。

「伊藤ちゃん」と呼んで可愛がっている先輩が、多い。

 あと、好きな食べ物はハンバーグで、嫌いな食べ物はグリーンピースらしい。(これは本人に唐突に聞いた。)

 ‥‥それくらいだ。私の知っている、伊藤さん情報は。

 

 そんな伊藤さんが作・演出をしている、青年団若手自主企画vol.71伊藤企画『きゃんと、すたんどみー、なう。』の稽古にお邪魔した。

 

 ある日は、アゴラ5階の稽古場へ。
 4階につながっている内階段からそっと入ると、みなさん、「どうぞどうぞ」と声をかけてくださる。

 

 休憩を終えて、伊藤さんが、「じゃ、〇〇からやります」とシーンの指示をしたのだけれど、皆無言‥‥

「誰も俺の話を聞いてない!」と伊藤さんが言ってみんな笑い、

 伊藤さんはさらに私に向かって「これを(『アゴラの人々』に)書いてください!」なんて言っていた。

 この日の稽古場は、みんなよく笑っていた。

 

 

 別の日は、春風舎の稽古へ。

 セットが建て込まれて、裏から靴を脱いで入ると、本当におうちにお邪魔しているような気分だ。

 

 休憩時間に入る。伊藤さんは、「ごめんね、何もおかまいできず。みんなに好きに話しかけていいからね」と言ってくれた。

 そこで、急に思いついた。

 出演者のみなさんに、伊藤さんのこと、聞いてみればいいんだ!

 

 舞台に腰掛けてご飯を食べていた、青年団の村井まどかさんに聞いてみた。

 何度も共演されている村井さんなら、伊藤さんのこと、よく知っているんじゃないかと思ったのだ。

「えー!?伊藤さんがどんな人か?何それ?」と驚いてからちょっと考えて、

「なぜか、モテる」と言う。

 村井さんは色々と具体例を話してくれたのだけれど、「こんなの『アゴラの人々』に書けないね」と言って楽しそうに笑った。

 その後、伊藤さんと青年団同期の由かほるさんにも聞いてみた。

「知らない。」「強め。」と。

 うーむ。

 

 キッチンの方へ移動して、岡野康弘さん(Mrs.fictions)にも同じ質問をしてみた。

「んー、俺は、昔のあいつしか知らないからなあ」と。

「昔はどうだったんですか?」と聞くと、

「基本的には今と変わらないんだけど、昔は“いつでも死ねる”って感じだったね。今は、いろんなぐちゃぐちゃなこと考えてるのに、あの柔らかい感じを保ってるから、すごい」

 とのこと。

 人に、歴史あり。ということかな‥‥。

 

 伊藤さんは木崎友紀子さん(青年団)のことを、“ジャッキー”と呼んでいる。

 いや、伊藤さんだけではなくて、多くの人が呼んでいる、愛称だ。

 ジャッキーさんご本人に、「どうして、“ジャッキー”さんなんですか」と聞いてみたら、

「本当につまんないんだけど、名字の木崎から、キザキ、ザッキー、ジャッキー、なんです。ほんっと、つまんなくて、ごめんなさい」と笑う。

 短大時代から、青年団に入っても、ずっとそう呼ばれているそうだ。

 ジャッキーさんはとてもベテランの俳優さんなのに、誰に対してもとても気さく。

 ジャッキーさんにも、伊藤さんについて聞いてみたのだけれど、

「えー、うーん、‥‥繊細。」とだけ答えて、なんだか少し気恥ずかしそうに笑って去って行った。

 

 もちろん、伊藤さんにも、直接、話しかけてみた。

「なんでそんなに若く見えるんですか?」と聞いたら、

「んー、なんでかなー、苦労してないからじゃない?」

 なんて、また冗談を言う。

 この日新たに得た情報は、伊藤さんはフジファブリックのファンだということ。

 恥ずかしながら私がフジファブリックを知らなかったので、詳しく説明してくれた。

 ‥‥やっぱり、伊藤さんがどんな人か、まだわからない。

 

 今回の舞台には、青年団では制作としても活躍されているあかばねさん(青年団リンク ホエイ・赤刎千久子さん)も出ている。

「なんだか、優しい人がいっぱいいますね」と言ったら、

「そうだねえ‥‥そう?」と返ってきた。

 

 私は、なんだか優しい稽古場だと思った。

 特に伊藤さんのことを話すときのみなさんは、みんな、優しい顔をしていた気がする、のだ。

 

 伊藤さんが集めた、優しい人々の、

 簡単じゃないけれど優しい話。

 そんな作品だと思う。

 青年団若手自主企画 伊藤企画『きゃんと、すたんどみー、なう。』9月24日まで。

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【公演情報】

2017年9月15日[金] - 9月24日[日]

 

青年団若手自主企画 伊藤企画

きゃんと、すたんどみー、なう。

作・演出:伊藤毅

 

出演:木崎友紀子 村井まどか 緑川史絵 由かほる 尾﨑宇内 中藤 奨 新田佑梨(以上、青年団)

海老根理(ガレキの太鼓) 工藤さや(カムヰヤッセン) 赤刎千久子(青年団リンク ホエイ) 岡野康弘(Mrs.fictions)

 

会場:アトリエ春風舎

tel:03-3957-5099(公演期間のみ)

 

チケット取り扱い:

青年団 03-3469-9107 (12:00 - 20:00)

https://komaba-agora.com/ticketsell/

 

WEB:

こまばアゴラ劇場公式HP http://www.komaba-agora.com/play/5499

 

伊藤企画HP https://itokikaku.jimdo.com/

 

 

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