今週の「アゴラの人々」

「こまばアゴラ劇場」に出入りする人々を追った、日々の記録。

月に数回、更新します。


 

vol.35「秋が来たので大人のはなし2017.10.15

 

 

    秋が来た。

 

    秋は、大好きな季節だ。

    じっとりと暑い夏を越えて落ち着いた空気に混じって、

    渋谷駅からでも、駒場東大前駅からでも、アゴラへ行く道すがら、金木犀の香りがする。

    アゴラの事務所でも、天気のいい日は窓を少し開けていれば、気持ちいい風が入ってくる。


     アゴラの中の好きな場所である、プレハブの前の階段で伸びをするのも、秋は格別に気持ちがいい。

 


 秋が私にとって特別な季節である理由には、自分の誕生日が来るということもある。

    私は先週22歳になった。


    誕生日から数日後、かなざわさん(青年団・金澤昭さん)にメールで業務連絡をしたところ、

    返ってきたメールの末尾にひとこと。

「そういえば、誕生日おめでとうございました。」

    かなざわさんの優しさ。こういうところが素敵です。

 


 そういえば21歳になった1年前の誕生日、

    あかばねさん(青年団・赤刎千久子さん)が

「まあ、おめでとう!健やかな一年になりますように。」

    とメッセージをくれた。続けて、

「わたし21の時なにしてたかなあ。青年団にいて、毎日アゴラで働いてたなぁ。あれ、いまと変わらない……(遠い目)。」

    と。


    あかばねさんは、21歳の頃には、もう働いてたんだ。のらりくらりと大学生をしている自分がちょっと恥ずかしくなる。

    せめて、もうちょっと勉学に励まなくちゃ。と、自分の尻を叩く。

 


 誕生日とは関係なく、数か月前のことなのだけれど、

    カワタツさん(青年団・河村竜也さん)にアゴラのキッチンで会って話していた時、

「今、いくつ?」と聞かれた。
「21です」と答えると、

「大学3‥‥4年生?若いねー」と。
    私はどう答えたらいいのかわからず、

「21のころ、何してました?」

    と聞いてみた。
「21、2のころはねー、映画つくってたね。自主映画。広島で。」
    へえー。全然知らなかった。
「18の時に初めて青年団を見て、これだ!と思って、それから、西日本に来る青年団のツアーとかは車で行って、全部見てたね。だから、21くらいのときも、そう。」
    へええ。人に歴史あり。

 


 そう、私は最近青年団の先輩方に、機会があれば「どうして青年団に入ったんですか」

と聞いてみている。

    本当に色々で、面白いのだ。

    みんみんさん(青年団・井上みなみさん)は、歳は私の2つ上なのだけど、大大先輩だ。
『さよならだけが人生か』の打ち上げに参加させていただいた帰りのこと。
    一緒に駅まで歩きながら、「どうして青年団に入ったんですか」と聞いてみると、
    柴幸男さんの作品に出演したのがきっかけで青年団と平田オリザを知って、
    青年団が2010年に「最後の新人募集」をすると聞き、

    まだ高校生だったみんみんさんは「これを逃すと平田オリザの作品に出られない!」と思って、飛び込んだのだという。


    今の私の歳の頃には何本も青年団の作品に出ていたのだ。すごいなあ。

 


 無隣館に入ってアゴラに来て、青年団に入って、いろんな先輩たちに会った。

    サッポロビール黒ラベルのCMで、階を上がると先輩に会える、”大人エレベーター”というのがあるけれど、

    アゴラも、私にとっては”大人エレベーター”みたい。

    ただ、階を決めてその年齢の先輩に会いに行くCMのストーリーとは違って、

    アゴラは、その日、何階にどの先輩がいるかわからない。

    1階からエレベーターに乗って、4階の事務所まで上がるとき、

    私は「今日は誰がいるかしら」とわくわくしている。

 


 秋は、盛りを過ぎて落ち着く季節。自分が歳を重ねる季節。

    毎年、金木犀の香りを嗅ぐと、大人になるってなんだろう、と思いをはせるのです。

    素敵な大人になりたいな。


    22歳の鏡味も、よろしくお願いいたします。

 

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