今週の「アゴラの人々」

「こまばアゴラ劇場」に出入りする人々を追った、日々の記録。

月に数回、更新します。


 

vol.36「何スかハハハ2017.10.28

 

 私にとって柳生二千翔さんは、一緒に無隣館二期演出部に入り、

 そしてそこから青年団演出部に入った、いわば同期である。

 歳は私のふたつ上。

 ヤギュウ、ニチカ、と読む。本名だそうだ。えー、すごい。

 私は、にちかさんと呼んでいる。

 

 

 そんなにちかさんの作・演出する、青年団若手自主企画vol.72 柳生企画『ひたむきな星屑』について書くことになったのだけれど、

 その前にまず、この3つの記事を読んでほしい。

 

 ひとつめ。無隣館若手自主企画vol.15 柳生企画『メゾンの泡』レビュー

 にちかさんが無隣館生として、二年目に発表した作品のレビュー。書き手は、私とにちかさんと同じく、無隣館二期演出部だった渡邉時生さん。

 ふたつめ、みっつめは、今回の「ひたむきな星屑」へのレコメンド、二つ

 それぞれ書き手は、急な坂スタジオディレクターの加藤弓奈さんと、劇団「ままごと」プロデューサーの宮永琢生さん。

 

 ‥‥読んでもらえただろうか。

 作品についてというより、にちかさんという人について、書いている。

 というか、書いてしまった、という感じに見える。

 そうなのです。にちかさんという人は、なんだか、書きたくなる、というか、いじりたくなる人なのです。

 

 

 にちかさんは無隣館二期の男子で一番年下だったので、無隣館で初めてにちかさんと出会った私にとっては、周りの大人たちからいじられ可愛がられている印象しかなかった。

 私が持っているにちかさんの様子と言えば、「にちか~」などと言われて「何スかハハハ」「やめてくださいよハハハ」と、

 ちょっと変わった腕の組み方をして、笑っているところばかりだ。

 


 そんな印象だけ持ったまま、『ひたむきな星屑』のアゴラでの稽古にお邪魔した。

 作品は、鬱屈とした、どこにも行けない人たちの話。

 にちかさんが「じゃ、ちょっと休憩で」と言っても、みんな台本とにらめっこしている。読み合わせが始まって、そのままなし崩し的に稽古が始まって、休憩が終わったりした。

 

 出演者のみなさんになかなか話しかけづらい空気だったので、今回衣装を担当していて、稽古を見ていた原田つむぎさん(東京デスロック)に話を聞いてみた。

 にちかさんの印象について、

「私今日初めてなんですけど、すごい、しっかりしてる方です」

 えっ。

 もちろん、しっかりしてないとは全く思っていないけれど、先程も書いたように、にちかさんはいじられている印象しかないので、ちょっと驚いてしまった。

 

 

 

 私を見て手を振ってくれた出演者のさきちゃん(青年団・折舘早紀さん)に聞いてみると、

「作品は、難しいです。みんな、悩んでる」と言う。

 

 にちかさんは、演出をつけているとき、よく笑うし、なんだかよく歌ってもいる。身体も落ち着きない。

 パッと見、ふざけているんじゃないか、と思うくらい。

 でも指示することは繊細で、難しい。頭の中に世界があるんだな、と思う。受け取る出演者のみなさんも、必死に理解しようとしている。

 それにしても本当によく歌う。鼻歌が多いけれど、急に「いーつのーことーだかー」と一節だけ歌詞がついた時は、

「歌詞がついた!」ということと「しかも童謡!」と二重にびっくりしたのだけど、他の人は平気で受け流していた。

 いつものことで慣れているのか、必死に台本を読んでいたからか、わからないけれど…。

 

 大重わたるさん(夜ふかしの会)は、にちかさんと出会ったのは少し前だけれど、作品に出演するのは初めてだそうだ。

 聞くと、「最初に会った時の印象と違う。細かく考えがあるんだな、という感じ。」とのこと。

 

 矢野昌幸さんは、「頭の回転が速い」と言う。

「あと、なんか、”柳生語”がありますね…

 『いつメン』とか。あ、別に柳生語じゃないか。」

 …矢野さんは矢野さんで、ちょっと観点が変わっている気がする。

 

 最後に話を聞いたのは、たちくらさん(青年団・立蔵葉子さん)。

 今回は「特別協力」というクレジットで、色々なお手伝いをされている。

「意外としっかりしてるなー、と思ったけど、やっぱり、若くて、歳相応だな、と思った。」

 おお、逆、というか、さらに先を行く反応が出てきた。

 5分か、10分くらい、しばらく作品や座組の話をした。

 たちくらさんは最後に、

「やっぱり、結局、柳生くん本人をいじりたくなるんだよね。愛すべきキャラクターだね」と言ってふふふと笑った。

 

 にちかさんのその特徴は、元々の性格もあるけれど、年上に囲まれる環境で培われたんじゃないかと思う。

 聞いたところだとにちかさんは、無隣館に入る前も、自分が一番下に近い環境が多かったらしいのだ。

 年上に囲まれて、無理に出しゃばらず萎縮せず、何スかハハハ、と仲良くなりながら。

 爪を意図的に隠しているわけじゃないけれど、出すべき時には出そうと思っている人。

 …じゃないかなあ、と、勝手に思う、私です。

 

 とにかく、『ひたむきな星屑』では、にちかさん、爪を出してます。

 どうやらその爪、けっこう鋭そうですよ。

 

 青年団若手自主企画vol.72 柳生企画「ひたむきな星屑」11月2日から。ぜひ。

 あっ、会場は春風舎でもアゴラでもなく、三鷹のSCOOLです!お間違いなく!

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【公演情報】

青年団若手自主企画vol.72 柳生企画

『ひたむきな星屑』

作・演出:柳生二千翔(青年団|女の子には内緒)

2017年11月2日(木) - 11月6日(月) 7ステージ

会場:SCOOL

 

出演 :坂倉奈津子 折舘早紀 永山由里恵(以上、青年団) 矢野昌幸 大重わたる(夜ふかしの会)

 

スタッフ:美術…金子恵美 音楽/音響…佐藤颯太 衣装…原田つむぎ(東京デスロック) 記録写真…三浦雨林(青年団) 宣伝美術…内田 圭 制作…寺田 凜(青年団) 特別協力…立蔵葉子(青年団) 総合プロデューサー…平田オリザ

 

会場 :SCOOL

東京都三鷹市下連雀 3-33-6 三京ユニオンビル5F

三鷹駅南口・中央通り直進3分、右手にある「おもちゃのふぢや」ビル5階

 

チケット取り扱い:青年団 03-3469-9107 (12:00 - 20:00)

オンラインチケット予約はこちらから

 

お問い合わせ:青年団 03-3469-9107(12:00 - 20:00)

『ひたむきな星屑』特設HPTwitter

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