今週の「アゴラの人々」

「こまばアゴラ劇場」に出入りする人々を追った、日々の記録。

月に数回、更新します。


 

vol.2 「とろけるオリザさん2017.5.25

 

 平田オリザの肌はとても柔らかい。

 と、聞いたのは、2月の『台北ノート』スタッフの休憩室だった。

 香奈さん(渡辺香奈さん)が、自分の手の甲を引っ張って、「こういう、手とかの皮膚がね、すごく伸びるの。」と話してくれたのだった。

 オリザさんは、触らせてくださいと言ったら、触らせてくれるらしい。

 本当かなあと思いつつ、私はその機会をずっと探していた。

 

 4月、機会がめぐってきた。

 青年団・こまばアゴラ演劇学校“無隣館”『南島俘虜記』の打ち上げにて。

 私は、出演者の石松太一さんと話していた。

 しばらくして、オリザさんが、石松さんの隣に座ったのだった。

 オリザさんは手元にビールの缶を持ってあぐらをかき、しばし周囲にいた何人かで話す。

 

 そわそわしていた私は、話が途切れたタイミングで、隣の石松さんに2月に聞いたことを説明した。

 石松さんは「いいんじゃない、触らせてくださいって言ってみれば」と。

 私がちょっと逡巡していると、すぐに石松さんがオリザさんに、「かがみさんがオリザさんの肌を触りたいって言ってます」と伝えた。

 そ、そんな説明で、大丈夫だろうか。ドキドキ。

 するとオリザさんは、「いいよ」とほっぺたを自分で伸ばす。

 え?私はてっきり、手の甲とか、腕とか、そういうところを触らせてくれるんだと思っていたのだ。

 まさか、ほっぺた?

 「はい」とオリザさんが身を乗り出す。

 石松さんがにやにやして見ている。

 私は恐る恐る手を伸ばして、触る。

 

 「うわーー!」

 オリザさんのほっぺた、めちゃめちゃ柔らかい!

 柔らかいというか、もう、「とろける」感じである。

 石松さんが「えっ、そんなに」と言うと、オリザさんが「いいよ」と石松さんの方へ頬を差し出し、石松さんも触れてみてびっくり。

 

 打ち上げの場はいくつかのかたまりで話している状態だったけれど、石松さんと私がオリザさんのほっぺたを引っ張っている図に、他の人々も気づく。

 遠くに座っていたやまもりさん(山守凌平さん)や、なかとうさん(中藤奨さん)がいるかたまりが、「なんだなんだ」とこちらに水を向ける。

 なかとうさんがいつもの調子で、「カガミ、何してんねん」などと言っている。

 

 経緯を説明すると、やまもりさんが勢いよく近くに来て、「俺も相当柔らかいよ」と言ってきたけれど、オリザさんの圧勝である。

 やまもりさんも触ってみて、「わー!」と。

 そこからは、数人がやってきて、触る触る。大騒ぎだ。

 「中学のとき、隣の席の子がこれを発見して、クラスが騒然としたんだよ」

と言って、オリザさんは笑っていた。

 

 アゴラへ来てから、色々想像していなかったことや知らなかったことを経験しているけれど、

まさか、オリザさんのほっぺたを引っ張る日が来るとは、思わなかった。

 そして、まさかこんなに「とろける」とは。

 

 とろけるオリザさん。

 まだまだ知らないことがいっぱいの、アゴラです。

 今年度も、どうぞよろしく。

 

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